2024年4月21日日曜日

新年度のご挨拶 〜 診療所かわら版2024年4月号より 〜

例年になく少なかった雪が解け、畑の土が顔を出していますね。たった1分の通勤時間でも日差しに、はっきりと春を感じます。診療所は3人の新任の医師を迎え新たなスタートを切りました。この数年不在だった副所長クラスに堂坂医師が着任。「いつか一緒に仕事ができたらうれしいな」と思っていた頼もしい大学の後輩で、本当にうれしく思っています。
さて、診療所の医療は2024年度、大きな変化が2つ予定されています。
 
【増改築工事の完了とデジタル化の推進】
 増改築の工事が終わり、4月には利用が始まります。長年課題となっていた発熱外来の患者さんの動線の完全な分離、感染・災害対策のために必要な備蓄品の保管場所の確保、この20年で大きく変化した医療環境に対応するための診察室や会議室の増設など。住民の皆様には見えにくい部分もありますが重要な内容がつまったものです。そして、村のスーパービレッジプレジェクトと協力して進めるデジタル化も目玉となります。発熱外来やインフルエンザ・コロナワクチンの予約をスマホでできるシステムがその筆頭です。それ以外にもオンライン診療の利用促進、健康保険証のマイナンバーカード化への対応とそれを利用した新たな形での医療提供の姿も示していきたいと考えています。
 
【医療費(診療報酬)改定】
 皆様が医療機関を利用するときの医療費は2年に一度全国一律で国が決定する、ということを皆様はご存知でしょうか? 今年はその改定が行われ、6月の診察から適用されるようになります。
 今回は皆様にとって一番身近な外来診療の医療費が大きく変わる予定です。更別村診療所は十勝で唯一の「機能強化型在宅療養支援診療所」という質の高い地域医療を提供する特別な医療機関として国から指定されていることから、医療費の面でも高く評価されました。
「高く評価された」というと聞こえがよいのですが、お会計でお支払い頂く医療費が6月から「値上がりする」という意味でもあります。今年の医療費の改定は全国に広がる物価の上昇と賃上げへの対応という側面もあり、自分たちでものの値段を自由に決められない医療機関にとっては重要なものです。
 住民の皆様にとってはプラスに感じる点もマイナスに感じる点もあるかも知れませんが、2024年度もどうかご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

2024年3月23日土曜日

医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

 久しぶりにどんぐり保育園のかわら版「どんぐり通信」への連載を紹介します。

3月号は毎回旅だつ子どもたちやその保護者の皆様に宛てて記事を書かせてもらっているのですが、反響が大きかったようですので、皆様にもお読み頂けると幸いです。

 2023年は私にとって特別な年でした。両親の金婚、私たち夫婦の銀婚。ダブルのお祝いということで家族旅行を企画したのですが、その時に両親に伝えたメッセージを旅立ちの春にご紹介したいと思います。かなり恥ずかしいのですが。

父さん、母さんへ

結婚50周年おめでとう。高校を卒業してからというもの、学校だ、仕事だと言って兄弟2人そろって北見の家に帰ることがほとんどかなわなわなくてさみしい思いをさせてきたと思うけれど、大きな節目の今年このような祝いの場をつくることができて少しだけ償いができたような気持ちになっています。こんなときだから何か素敵な贈りものを、と最初は考えていた。何を贈ってもきっと喜んでくれるのだろうけれど、ものよりも直接気持ちを伝えられる方がよいと思って家族を代表して長男の僕が手紙を読むことにしました。正直言ってとても恥ずかしい。でも2人が元気なうちに伝えておきたい。「あのとき伝えておけばよかった」と後悔するのはイヤなので勇気を出して読みます。僕は理系で理屈っぽい人間なのでくどいけれどまあ聴いて下さい。

僕も知也(弟)も本当に幸せな人生を送っています。僕にも知也にもおそらく最期まで添い遂げるであろう妻がいる。2人のかわいい子どもを授かることもできた。仕事も充実して頑張っている。何よりも心身ともに健康だ。

医師として何百何千という人と家族の人生に関わらせてもらってきたけれども、この幸せは決して当たり前のことではないのだということを身に染みて知らされる25年間だった。

そして、この当たり前ではない幸せを僕ら兄弟が得られているのは父さんと母さんが僕と知也を本当に大切に、愛情を注いで育ててくれたから、幸せを自分の力でつかみ取る力を身につけさせてくれたからなのだ、と今心の底から思っている。

北見に帰ったときに何度か話したことがあるけれど、僕の中学時代は人生の中でも最悪に辛いものだった。何の取り柄もなく自分自身に自信ももてない、将来の夢すら持つこともできない。そんな中僕は毎年中学校を転校するという不運に見舞われた。中学3年生になるときの転校では最初の1ヵ月クラスの誰にも声をかけられず1日中机に座って1人で過ごす毎日。そうこうしているうちに病気を患い1ヵ月半も入院。退院したら大好きだったじいちゃんが白血病で亡くなった。

客観的にみたらボロボロになって何が起きてもおかしくない厳しい状況なのだけれども、なぜか僕は乗り越えることができた。どうして乗り越えられたのだろうって、この20年ずっと考えてきた。で、最近一定の結論を見たんだ。それはこうです。僕には苦境を「乗り越える力が身に付いていた」。

その力をそれまでの子育てで与えてくれていたのが父さんと母さんなんだって。

詳く解説すると1時間もの大演説になってしまうのでやめておくけれど、大きな苦境や挑戦を踏ん張って乗り越える力は赤ん坊の時からしっかりと愛情を注がれて育っていないと身につかない。あのとき父さんと母さんは僕が苦境に立っていることを知っていた。それでも僕を、それまでの父さんと母さんのしてきた子育てを、信じて見守ってくれていたんだって今は思っている。2人の子どもの親をやっていて思うけれど、信じて待つ、見守るということがいかに難しいことか。今、「尊敬する人はだれ」と人に聴かれたら、いい加減な気持ちではなく、はっきりと「両親です!」とこたえます。

父さんと母さんの子で本当によかった。僕も知也もそう思って生きています。 

ありがとう。これからも僕たちのことを暖かく見守り続けて下さい。

令和5年10月

この春旅立ちを迎える皆さんにもきっとあのときの私と同じく踏ん張れる力が備わっているはず。皆さんが自分なりの幸せをつかみ取れることを祈っています。

2024年3月

更別村国保診療所 山田康介


新年度のご挨拶 〜 診療所かわら版2024年4月号より 〜

例年になく少なかった雪が解け、畑の土が顔を出していますね。たった1分の通勤時間でも日差しに、はっきりと春を感じます。診療所は3人の新任の医師を迎え新たなスタートを切りました。この数年不在だった副所長クラスに堂坂医師が着任。「いつか一緒に仕事ができたらうれしいな」と思っていた頼もし...