2021年3月6日土曜日

今知りたい! 新型コロナワクチン講座 診療所かわら版 2月号より

 

メディアで新型コロナワクチンに関する様々な情報があり、適切に判断するのが非常に難しいと思われます。最新の情報を診療所医師の見解も含め、紹介します。更別村での具体的なワクチンスケジュールに関してまだ未定なので、しばらくお待ちください。

分からないことは診療所の医師に気軽にご相談ください!

 

「どういったワクチンなの?」

複数の製薬会社から出ていますが、現在開始予定になるワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。これらのワクチンが接種されると、ウイルス表面のトゲの部分(図の〇部分)のタンパクが作られ、それを元にウイルスに対する免疫がつくことになります。生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、またすぐに処理されるため人間の遺伝子の情報に変化が加わることもありません

接種回数は2回、間隔を3週間空けて接種します。筋肉注射で、肩の上のほうに注射します。自己負担費用はかかりません。


「効果はどうなの?」

今あるワクチンと比較しても、発症予防効果が非常に高いもの(95%以上)となっています。ちなみにインフルエンザワクチンの発症予防効果は約50%です。ここでいう発症予防効果とは、「水を接種した人の発症率よりもワクチンを接種した人の発症率のほうが95%少なかった」ということです。新型コロナウイルスで重症化の危険が高いとされている高齢者・基礎疾患をもつ人でも、65歳以上の発症予防効果が94.7%、重症化の危険がある人の発症予防効果が90.9%と高い効果が期待されます。また感染した際の重症化を防ぐ効果も期待されています

 

「安全性はどうなの?」

基本的には安全に大きな問題はないと考えられます。最も頻度が高い副反応は注射した部分の痛み(接種後1224時間に強い)です。全身の副反応(だるさ、頭痛、発熱など)は概ね2日以内に改善します。

 

「アナフィラキシー(重いアレルギー反応)は大丈夫?」

ワクチン接種後の危険な副反応としてアナフィラキシー(複数の臓器に急速に現れる緊急性のあるアレルギー反応で、息苦しさ、失神、下痢、皮膚の症状など)があります。他の薬と比較して特別アナフィラキシーの頻度が高いわけではありません(図参考)。接種後短時間で起きることがほとんどなので、接種後30分間は院内でスタッフがすぐ対応できるように経過観察する時間を設ける予定です。もし起きたとしても、薬を使えば必ず治りますワクチンや薬、食べ物などでアナフィラキシーを起こしたことがある人は慎重に検討したほうがよさそうです。アナフィラキシー以外のアレルギー(花粉症、食物アレルギー、アトピーなど)は大きな問題はないとされていますが、心配な人は医師と相談しましょう。

 

「まだわかっていないことは何?」

・ワクチンの予防効果がどのくらいの期間続くかわかりません。

・無症状の感染に対しての予防効果ははっきりしたことは不明です。

・他の人への感染を予防できるかは不明です。ただ症状のある人を減らすことで感染拡大は予防できるだろうとされています。

 

「現時点の診療所医師としての考えは?」

安全性に重大な問題はなく、十分効果があるため、ワクチン接種は望ましいと考えます。人によって背景やワクチンの考えが異なるため、それぞれ正しい情報を元に判断することが望ましく、今回の情報も参考に考えていただければと思います。またワクチンを接種したとしても、当面は現在の感染対策の継続が必要となりますので、油断しないことも大切です。引き続き皆さんのご協力よろしくお願いいたします。 


 

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