2013年3月27日水曜日

お弁当はすばらしい 〜どんぐり通信「医業も父親業も日々鍛錬。」より〜


村のどんぐり保育園の発行する「どんぐり通信」3月号への連載記事のご紹介です。 

先日,初めて子供のお弁当をつくりました.
 妻がインフルエンザで寝込んでしまい,あらゆる家事を私がしなければならなくなった朝,4歳の娘が幼稚園にお弁当を持って行かなければならない,ということが判明したのです.
 掃除,洗濯,朝食,食器洗い,子供らの世話・・・平日の朝わが家で必要な家事は妻の望む比較的高いレベル(笑)でこなす自信はあります(日頃の厳しい指導のたまもの).
 しかし,こどもの,あのかわいらしいお弁当は全く経験がありません.
 カウンターには娘の弁当箱とメニューのメモらしきものが・・・これも無言のプレッシャーをかけてきます.
 「よりによって今日,この日がお弁当とは・・・」
 途方に暮れていたところ,娘が起きてきました.
 娘「今日ね,おとうさんと一緒にお弁当つくるの!」
 私「ごめん,お父さんお弁当はつくったことがないからできないよ〜」
 みるみる娘の顔が曇っていきます.
 私「わかった,わかったよ.おとうさん,頑張ってみるよ.」
驚いたのは娘が何でもよく知っていること.お弁当作りに必要な道具を全部出してきてくれました.
母親のやることをよく観察しているのですねぇ.
 そんな感じで始まったお弁当作り.ご飯をくまさんの型にいれて,のりで顔を付け・・・「おお!時代はこんなに進化していたのか!」と驚きつつ意外に楽しんでやっていたのですが,最終段階.食材が全然うまく弁当箱に収まらない!無理矢理つめこんでも不細工になるばかり・・・見かねた妻が床から出てきてうまく詰めてくれ事なきを得ましたが,難しいものです.
 さあ,無事お弁当が完成.娘も満足の様子.一安心です.
 お弁当をつくりながら,精神分析の性格論のことを思い出していました..発達的見地から見た,「口唇期」というやつです. 赤ん坊にあげるお乳は人生で最初に人からもらう贈り物という見方から愛情の象徴とされ,人に食事を与えるということは愛情を与えるということでもある,とある教科書に書いてあったのです.
 子供のために手間暇かけて,きれいに詰められたお弁当をみていると「ああ,本当に愛情そのものだなあ」と思います.娘の通う幼稚園は給食が出るのですが,たまにお弁当の日があることにも大事な意味があるように思えます(お母さんは大変なのでしょうが).
妻の病気をきっかけにこのような機会を与えられたことに少しだけ感謝の気持ちが湧きました.
20133
更別村診療所
ヤマダコウスケ

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