2016年3月22日火曜日

医業も父親業も日々鍛錬. 第22回 青春を振り返る 〜どんぐり通信 2016年3月号より〜



 2月下旬.生まれ故郷の知床・斜里町に招かれ講演をさせて頂く機会に恵まれました.
斜里町は幼少期を過ごしただけのまちではありますが,当時住んでいた住宅が今でも残っていたり,私の腕にBCGの予防接種をしてくれた看護師さんとの出会いがあったり,と「ブラタモリ」のように私が確かにこの町で幼少期を過ごした「痕跡」がいっぱいで,旅情たっぷりの出張になりました.
 講演会にはこの地域で社会福祉士として働く高校時代のクラスメートで当時仲のよかった(つきあっていたわけではありません)女性が会いに来てくれました.「みんなで一緒にキャンプに行ったよね〜」「小さなパーティを開いたりして,楽しかったねえ.」淡い青春の思い出を振り返り,25年も前ことがまるで昨日のように思いだされます.この年になっても胸がきゅんとすることがあるのですねえ.

 そして,3月1日.学校医であり非常勤の講師を務めている更別農業高校の卒業式に来賓として出席しました.3年間内科検診や授業を通じて見守ってきた生徒さんたちです.3年間通い続け,そして卒業までやり遂げた皆さんの顔には充実感が感じられました.卒業式というセレモニーを厳かな雰囲気の中ビシッとかっこうよく決めたみんなの姿がとてもまぶしく写りました. この瞬間,再び私自身の高校時代がフラッシュバックしました.医学部を受験したものの合格発表はまだだった卒業式.モヤモヤとした気持ちを残しながらの卒業式.シャイな私は卒業アルバムに誰からもコメントを書いてもらわず,静かに帰宅.あのときの古くさい校舎の空気,外にでたときの気温.未だに肌にその感触が残っています.

子育てに仕事に忙しい毎日.普段はあの頃を思い出すことなんてほとんどない.でも25年を過ぎた今でも自分の胸の中にあの頃のことが大事にしまわれていて,いつだって鮮明な形で取り出せる.そんなことを確認したこの1週間あまりでした.

 旅立ちの時を迎えたみんなも,青春時代の思い出をいくつになっても大事にしてほしい.そして何かの機会に思い出して欲しい.きっとそれはみんなに力を与えてくれるんじゃないかなあ.

山田康介

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