2021年3月14日日曜日

離任する職員からのご挨拶(診療所かわら版 2021年3月号)



 医師 棟方智子(むねかた さとこ)

更別に来て11年、1歳だった息子も12歳になり小学校を卒業するまでに成長しました。私も更別村で学んだおかげで家庭医療専門医・指導医を取得することができました。診療所だけでなく、息子の保育園や小学校の活動、習い事、少年団など様々な場面でお世話になりました。ひとり親でも仕事も生活も楽しめたのは、更別村のみなさんの温かいご支援のおかげです。発表会で助け合っている子どもたちの姿、お祭りでいきいきと歌い踊っている姿、地域食堂で美味しいごはんを提供してくださる姿など診療所の外で活躍するみなさんの姿をみることが 大好きでした。診察でお聞きする病いの体験は人生のほんの一部で、みなさんには多くの役割があり輝ける場所があるということを実感でき、それを支える仕事ができることが嬉しかったです。私は4月から国民健康保険町立南幌病院で勤務します。更別村での経験をいかして、病気だけでなく人々の生活や家族、地域を支える医療が提供できるよう精進してまいります。私たち親子に関わり育ててくださった一人ひとりに感謝を伝えたいところですが、コロナ禍のためそれが叶わないことが心残りです。更別村のみなさんのご清祥を心より願っています。

11年間ありがとうございました。

 

医師 松本百奈美(まつもと もなみ)

栃木県にある獨協医科大学病院総合診療科から更別村に来て、早一年が経ちました。
去年は診断がつかず困っている紹介患者さんを診療することが主な仕事でした。
更別村では幅広く全身管理したり、家庭医として地域に出ていく機会があり、医師として幅が広がった一年でした。
このかわら版の記事も一年間書き、健康講座で地域に出向かせていただいたのは貴重な経験でした。関東から一人で北海道に来て非常に不安でしたが、患者さんから雪のことなど生活のことを気遣ってくださることもあり、北海道生活の心配事も何とか乗り越えることができました。
初心者マークをつけた車で休日は出かけることもありましたが、コロナ禍でなければもっと道内の観光をしたかったです…もう少し更別にいたい気持ちは山々ですが、4月からは再び栃木県に戻り大学病院で勤務します。更別村での経験を活かしていきたいと思います。
コロナが落ち着いたら北海道に遊びに行ければと思います。1年間ありがとうございました。
 

2021年3月6日土曜日

今知りたい! 新型コロナワクチン講座 診療所かわら版 2月号より

 

メディアで新型コロナワクチンに関する様々な情報があり、適切に判断するのが非常に難しいと思われます。最新の情報を診療所医師の見解も含め、紹介します。更別村での具体的なワクチンスケジュールに関してまだ未定なので、しばらくお待ちください。

分からないことは診療所の医師に気軽にご相談ください!

 

「どういったワクチンなの?」

複数の製薬会社から出ていますが、現在開始予定になるワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。これらのワクチンが接種されると、ウイルス表面のトゲの部分(図の〇部分)のタンパクが作られ、それを元にウイルスに対する免疫がつくことになります。生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、またすぐに処理されるため人間の遺伝子の情報に変化が加わることもありません

接種回数は2回、間隔を3週間空けて接種します。筋肉注射で、肩の上のほうに注射します。自己負担費用はかかりません。


「効果はどうなの?」

今あるワクチンと比較しても、発症予防効果が非常に高いもの(95%以上)となっています。ちなみにインフルエンザワクチンの発症予防効果は約50%です。ここでいう発症予防効果とは、「水を接種した人の発症率よりもワクチンを接種した人の発症率のほうが95%少なかった」ということです。新型コロナウイルスで重症化の危険が高いとされている高齢者・基礎疾患をもつ人でも、65歳以上の発症予防効果が94.7%、重症化の危険がある人の発症予防効果が90.9%と高い効果が期待されます。また感染した際の重症化を防ぐ効果も期待されています

 

「安全性はどうなの?」

基本的には安全に大きな問題はないと考えられます。最も頻度が高い副反応は注射した部分の痛み(接種後1224時間に強い)です。全身の副反応(だるさ、頭痛、発熱など)は概ね2日以内に改善します。

 

「アナフィラキシー(重いアレルギー反応)は大丈夫?」

ワクチン接種後の危険な副反応としてアナフィラキシー(複数の臓器に急速に現れる緊急性のあるアレルギー反応で、息苦しさ、失神、下痢、皮膚の症状など)があります。他の薬と比較して特別アナフィラキシーの頻度が高いわけではありません(図参考)。接種後短時間で起きることがほとんどなので、接種後30分間は院内でスタッフがすぐ対応できるように経過観察する時間を設ける予定です。もし起きたとしても、薬を使えば必ず治りますワクチンや薬、食べ物などでアナフィラキシーを起こしたことがある人は慎重に検討したほうがよさそうです。アナフィラキシー以外のアレルギー(花粉症、食物アレルギー、アトピーなど)は大きな問題はないとされていますが、心配な人は医師と相談しましょう。

 

「まだわかっていないことは何?」

・ワクチンの予防効果がどのくらいの期間続くかわかりません。

・無症状の感染に対しての予防効果ははっきりしたことは不明です。

・他の人への感染を予防できるかは不明です。ただ症状のある人を減らすことで感染拡大は予防できるだろうとされています。

 

「現時点の診療所医師としての考えは?」

安全性に重大な問題はなく、十分効果があるため、ワクチン接種は望ましいと考えます。人によって背景やワクチンの考えが異なるため、それぞれ正しい情報を元に判断することが望ましく、今回の情報も参考に考えていただければと思います。またワクチンを接種したとしても、当面は現在の感染対策の継続が必要となりますので、油断しないことも大切です。引き続き皆さんのご協力よろしくお願いいたします。 


 

医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

  久しぶりにどんぐり保育園のかわら版「どんぐり通信」への連載を紹介します。 3月号は毎回旅だつ子どもたちやその保護者の皆様に宛てて記事を書かせてもらっているのですが、反響が大きかったようですので、皆様にもお読み頂けると幸いです。  2023...