2024年3月23日土曜日

医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

 久しぶりにどんぐり保育園のかわら版「どんぐり通信」への連載を紹介します。

3月号は毎回旅だつ子どもたちやその保護者の皆様に宛てて記事を書かせてもらっているのですが、反響が大きかったようですので、皆様にもお読み頂けると幸いです。

 2023年は私にとって特別な年でした。両親の金婚、私たち夫婦の銀婚。ダブルのお祝いということで家族旅行を企画したのですが、その時に両親に伝えたメッセージを旅立ちの春にご紹介したいと思います。かなり恥ずかしいのですが。

父さん、母さんへ

結婚50周年おめでとう。高校を卒業してからというもの、学校だ、仕事だと言って兄弟2人そろって北見の家に帰ることがほとんどかなわなわなくてさみしい思いをさせてきたと思うけれど、大きな節目の今年このような祝いの場をつくることができて少しだけ償いができたような気持ちになっています。こんなときだから何か素敵な贈りものを、と最初は考えていた。何を贈ってもきっと喜んでくれるのだろうけれど、ものよりも直接気持ちを伝えられる方がよいと思って家族を代表して長男の僕が手紙を読むことにしました。正直言ってとても恥ずかしい。でも2人が元気なうちに伝えておきたい。「あのとき伝えておけばよかった」と後悔するのはイヤなので勇気を出して読みます。僕は理系で理屈っぽい人間なのでくどいけれどまあ聴いて下さい。

僕も知也(弟)も本当に幸せな人生を送っています。僕にも知也にもおそらく最期まで添い遂げるであろう妻がいる。2人のかわいい子どもを授かることもできた。仕事も充実して頑張っている。何よりも心身ともに健康だ。

医師として何百何千という人と家族の人生に関わらせてもらってきたけれども、この幸せは決して当たり前のことではないのだということを身に染みて知らされる25年間だった。

そして、この当たり前ではない幸せを僕ら兄弟が得られているのは父さんと母さんが僕と知也を本当に大切に、愛情を注いで育ててくれたから、幸せを自分の力でつかみ取る力を身につけさせてくれたからなのだ、と今心の底から思っている。

北見に帰ったときに何度か話したことがあるけれど、僕の中学時代は人生の中でも最悪に辛いものだった。何の取り柄もなく自分自身に自信ももてない、将来の夢すら持つこともできない。そんな中僕は毎年中学校を転校するという不運に見舞われた。中学3年生になるときの転校では最初の1ヵ月クラスの誰にも声をかけられず1日中机に座って1人で過ごす毎日。そうこうしているうちに病気を患い1ヵ月半も入院。退院したら大好きだったじいちゃんが白血病で亡くなった。

客観的にみたらボロボロになって何が起きてもおかしくない厳しい状況なのだけれども、なぜか僕は乗り越えることができた。どうして乗り越えられたのだろうって、この20年ずっと考えてきた。で、最近一定の結論を見たんだ。それはこうです。僕には苦境を「乗り越える力が身に付いていた」。

その力をそれまでの子育てで与えてくれていたのが父さんと母さんなんだって。

詳く解説すると1時間もの大演説になってしまうのでやめておくけれど、大きな苦境や挑戦を踏ん張って乗り越える力は赤ん坊の時からしっかりと愛情を注がれて育っていないと身につかない。あのとき父さんと母さんは僕が苦境に立っていることを知っていた。それでも僕を、それまでの父さんと母さんのしてきた子育てを、信じて見守ってくれていたんだって今は思っている。2人の子どもの親をやっていて思うけれど、信じて待つ、見守るということがいかに難しいことか。今、「尊敬する人はだれ」と人に聴かれたら、いい加減な気持ちではなく、はっきりと「両親です!」とこたえます。

父さんと母さんの子で本当によかった。僕も知也もそう思って生きています。 

ありがとう。これからも僕たちのことを暖かく見守り続けて下さい。

令和5年10月

この春旅立ちを迎える皆さんにもきっとあのときの私と同じく踏ん張れる力が備わっているはず。皆さんが自分なりの幸せをつかみ取れることを祈っています。

2024年3月

更別村国保診療所 山田康介


2023年12月28日木曜日

仕事納め。2023年も1年間お世話になりました!~診療所かわら版12月号

本日の午前診療をもって、年内の通常診療は終了となりました。

午後は恒例の大掃除。わたくし、小さい頃から掃除や片づけが大の苦手なもので、神経を使いすぎるのか掃除をした次の日に熱を出して寝込む習性があります。

…なんて頓狂な方はめったにいらっしゃらないと思いますので、この年末年始にお熱を出された方は無理をなさらずお休みいただくか、診療所にご相談ください。

2023年は新型コロナウィルス感染症が第5類になり、日常が戻ってくると同時に感染症の災厄も身近になった1年でもありました。

流行期は発熱外来の混雑等でご迷惑をおかけしましたが、みなさまにも診療所内でのマスク着用などの感染対策にも引き続きご理解を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

年末年始は帰省などで人の動きが多くなる分、コロナ流行前から感染症が広がりやすい時期と言われております。みなさま、感染対策を始めお体にはどうかお気をつけて素敵な年末年始をお過ごしください。

そして、もし体調に異変を感じた場合は無理をせず、お休みいただくか受診をご相談ください。診療所はいつもの土休日と同じく、年末年始も急患の方々は診療を受け付けております。

重ねてになりますが、今年2023年は大変お世話になりました。年が明けた2024年もどうぞよろしくお願いいたします。













2023年10月16日月曜日

眠りのおくすり飲まなきゃ…その前に!~診療所かわら版10月号~

毎月お届けしてます診療所かわら版ですが、いちおう編集会議というものがございます。
今回は趣を少し変えてかわら版ができあがるまでの裏側をちょっぴりご紹介。

毎月の編集会議で、季節の話題や、時期柄多くなるお悩み事などをいくつか並べてテーマを決めて、それに合う執筆担当を決めて…といったような流れでいつもご覧いただくかわら版の紙面ができてくるわけです。

10月の話題と申しますと「なんとかの秋」からアイディアが多くなるわけですね。
食欲の秋、運動の秋。あと何があったっけ?そんな会話をしながらテーマを選ぶわけですな。

しかーし、残念ながら(?)10月の執筆担当はワタシ、山田祐でしたもんで、以下のような話に。

・食欲の秋:ダイエットや食事制限でもテーマにしますか?いやいや、ワタシ赴任してから半年で(ヒミツ♡)kg太ったんでとても偉そうなことは言えませんよ(涙)

・運動の秋:ええと、働き始めてからほっとんど運動してないワタシが運動の記事を書けと??

…というように、会議でお姉様方に赤裸々な私生活を明かしながらご容赦頂いた次第でございます。
そんなこんなのやり取りを経て、季節の変わり目で相談をいただくことの増える「眠り」のテーマにたどり着いたというわけです。

秋口の記事だってのに「春眠暁を覚えず…」の書き出しに「?」となった皆様方、内幕ではこんなやり取りが交わされておりました。

来月は紙面のテーマ、なににしましょうかねえ。











2023年10月1日日曜日

インフルエンザ予防接種の申し込みが始まりました!

あれだけ暑い暑いと唸っていた9月が嘘のように、爽やかな秋風を感じる日々となりました。みなさま、お風邪など召されておりませんでしょうか。

こう冷えて参りますと心配になるのが冬風邪…そう、インフルエンザですね。

私どもの業界ですと、もはや冬風邪と呼んで良いやらわからないぐらいには夏にも患者さんがいらっしゃるなんて話が出たりするのですが、まあそれは置いておいて。

そろそろインフルエンザの予防接種をご案内するシーズンとなりました。下記にご案内を掲載しておりますので、ご参考にされてください。

お申し込みは【診療所へのお電話】でお受けしております。事前に希望される日をお考えの上お電話ください。

なお、予診票を印刷できるようにしておきました。お年に応じて様式が異なりますので、接種予定の日のご年齢に合わせて印刷してご利用ください。


インフルエンザ予防接種 予診票【~64才】

インフルエンザ予防接種 予診票【65才~】


印刷することが難しい場合は診療所でも記入することが出来ます。ご不明点がございましたらお申し込み時または外来受診時にご相談ください。



2023年8月12日土曜日

【だいじなお知らせ】かぜ薬の処方制限にご協力をお願いします

 ブログ担当の山田祐揮です。今回は、かぜ薬が品薄になっていることに伴う処方制限についてお知らせします。

現在、全国的に喉風邪が大流行していることや、コロナの感染拡大、そして一部製薬会社の製造ライン不備等の影響を受け、いわゆるかぜ薬(咳止め、痰切り)が深刻な品薄に陥っています。

また、一部の薬剤に関しては製薬会社より今後数年間にわたる供給量の低下が見込まれる旨の通知も出ています(原材料不足による)。

当院及び近在薬局でもかぜ薬の入荷量がかなり制限されてきており、今後みなさまに必要かつ十分なだけのおくすりが行き渡るよう、かぜ薬(咳止め、痰切り)に関しては下記のような対応とさせて頂きます。

みなさまにはご迷惑をおかけ致しますが、必要な時におくすりがない!といった事態に陥らないための対策ですので、何卒ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。


◆対象となる薬剤(主なもののみ)

*咳止め:メジコン、デキストロメトルファン、アスベリン、アストミンなど

*痰切り:カルボシステイン、ムコダイン、ムコソルバン、ムコサール、アンブロキソールなど


◆今後ご協力をお願いすることのある対応

・処方日数の短縮

・決まったタイミングでの服用→症状が出たときのみの服用(頓服)への変更

・同じような効能の漢方薬への変更

・予備として/念のためとしてお薬の日数を増やす対応をお断りさせて頂く

・1回量の減量




2023年7月26日水曜日

熱の入れすぎにご用心!~診療所かわら版7月号~

いつのまにすっかり…というより、思いっきり真夏になってしまいましたね。
真夏というより酷暑。四季を表す言葉というと盛夏とか、晩冬とか、どこか四季の変化を貴ぶ余裕や風流を感じる語が多いように思いますが、酷暑ばっかりは若干の恨み節を感じますね。昔の人も恨みたくなるような暑さというのがあったんでしょう、おそらく。
農作物が元気になっても、育ててるこっちがまいっちゃいそうですね。

読んで字のごとく、酷い暑さ。ここまでくると人間の身体も悲鳴をあげるのが相場ってもんです。
今日の東京なんて38℃だったそうですが、この数字、体温計に表示されたら立派に「お熱」ですよ、お熱。
人間の体温は36℃そこそこですから、酷い暑さになりますと体のお熱を外に出すことが苦手になります。そうすると行き場を失った熱ってのは体の内にこもります。人間の中が熱せられる…これを「熱中症」と申します。
熱いのがハートだけならいいんですが、残念ながら熱の方にはそんな分別はございませんで、熱せられちゃいけない人間のだーいじな臓器、そう、脳やら腎臓やらをダメにしてしまいます。そうなると動けなくなって救急車…ということも珍しくありません。侮ってはなりません。

有難いことに昨今は、厚生労働省が熱中症をどうやって予防したらよいか、わかりやすい資料を作ってくれています。その手引きを一部引用して今月のかわら版を作りました。よろしければご覧ください。
どうかみなさま、熱いのはハートだけにしておいてくださいますよう…




2023年6月10日土曜日

ダニにご用心!~診療所かわら版6月号~

 寒も緩んで野の花々も顔を覗かせる季節になりました。…それどころか昼間の暑さで汗ばむ日もあるぐらいですね。みなさま季節の変わり目、体調の変化にはどうぞお気をつけください。

さて、こう春めいて参りますと木々花々だけでなく虫たちも元気活発になるというのが世の常のようでして、診療所へも「ダニ」に咬まれて受診される方が増えてまいりました。

どこから入ったんだか、知らぬ間に忍び込んで体に食い込んでいる、ダニ。

痛いしかゆいし血は吸われるしで、見つけたら即刻つまんで取ってポイ!したくなるのが人情というものではありましょうが、実はあのダニ、『無理に取らないで』ほしいのです。

ダニの方もや~っと食べ物にありつけて必死に食いついていますので、無理に引っ剥がすとかじりついている口だけが皮膚の中に残ってしまい、痛みが残ったり傷が膿んだりしてしまうことがあるんです。そうすると咬まれた以上に痛いことに…

診療所にご相談いただければ、専用の器具ですぐに取ることができます(あまりに深々と食い込んでいると皮膚を切ることもあります)。

たかがダニ、されどダニ。ダニに咬まれた際は、なるべく早めに診療所におかかりください。


申し遅れました、私6月からブログの更新も担当することになりました山田祐揮と申します。

診療所でお目にかかりました際は、どうぞよろしくお願い申し上げます。




医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

  久しぶりにどんぐり保育園のかわら版「どんぐり通信」への連載を紹介します。 3月号は毎回旅だつ子どもたちやその保護者の皆様に宛てて記事を書かせてもらっているのですが、反響が大きかったようですので、皆様にもお読み頂けると幸いです。  2023...