2019年9月15日日曜日

医業も父親業も日々鍛錬。 第30回 「かぜと抗生物質の本当の話」 〜 どんぐり通信 2019年9月号より〜


 今回はいつかこの紙面でお伝えしなくてはならないと思いながらどうお伝えすべきか迷ってきた医学ネタを扱いますね。 …それは抗生物質(抗菌薬)のことです。
咳や鼻,発熱といった症状で受診したときに抗生物質が処方されたことのあるお子さんは多いと思います。そこでちょっと立ち止まって考えてみましょう。その抗生物質は何という病気(診断)に対して処方されたのでしょうか? 「かぜ」はウイルスという微生物によって引き起こされる病気です。抗生物質は細菌という微生物を殺すためのお薬で細菌よりもはるかに小さいウイルスには効果がありません。一方で「肺炎」や一部の「気管支炎」,「中耳炎」や「副鼻腔炎」といった細菌が引き起こす病気に対しては適切な抗生物質を選べば大変効果的です。そして,これらは「かぜ」がこじれて発症することが多いです。
ですから,抗生物質が処方されたときには医師に確認してみて欲しいのです。「この子,かぜが悪化してしまったのでしょうか。診断をおしえていただけませんか?」 抗生物質が必要な病名ではなかった場合,処方された抗生物質は効果があまりない薬剤であることが多く,有名な感染症の専門医により冗談交じりにDU(だいたいう●こになる)と命名されました(※1)。だいたいう●こになるだけなら無害ですが,下痢や薬疹などの副作用の危険性がありますし,安易に使い続けていると抗生剤が効かない細菌(耐性菌)がお子さんに病気を引き起こす可能性もあります。そんな理由から現在,厚生労働省や関連学会から安易な抗生物質の処方を控えるよう通達が出ているところです.
「かぜの治りが悪くて,病院で抗生物質をもらったら良くなった」という経験をお持ちのお子さんも多いと思います。もちろん上記の抗生物質が効果的な病気にこじれているのならば短期間でグンと良くなるでしょう。一方でそのような徴候のない場合はやはりウイルスによるかぜのことが多いです。かぜの症状が治るまでの期間は思ったより長く,就学前のお子さんで平均14日前後と言われています(※2)。風邪症状が長引き心配で受診したときには治りかけで意外に抗生剤は不要なのかもしれませんね。抗生剤の要否を一般のご家庭では見分けることは難しいかもしれません。ですから抗生剤が処方されたときにぜひ医師に確認して欲しいのです。「この子,かぜが悪化してしまったのでしょうか。診断をおしえていただけませんか?」
かぜの症状が長引くと不安な気持ちになることはとても良く理解できます。医師の私ですら息子がRSウイルスによる細気管支炎を起こしたときは心配で夜何度も起きて見守ったものです… 診療所では抗生物質が必要なときはその理由(病名)をご説明の上お出ししています.抗生剤は万能ではなく有害性も併せ持っているということをお知り頂き,賢く安全に大切なお子さんをご家庭と一緒に見守っていけたらと思っています。

※1 本当はお薬の名前までお伝えしたいところですが,公共の場で特定のお薬を名指しすることは控えておきます。乳幼児健診や予防接種,診療でお会いしたときに気軽にお聞き下さい。そっとお教えします。
※2 Duration of symptoms of respiratory tract infections in children: systematic reviewBMJ, 2013.

2019年9月
更別村診療所
山田康介

2019年7月29日月曜日

みんなでやろう,ちょいリハ 〜どんぐり通信2019年6月号より〜

みなさん最近このような事ありませんか?
チェックしましょう!
① 外に出かけなくなった
② 家でつまずくことが増えた
③ トイレで立ちにくくなった

これらは「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態です。
これには運動習慣が大事ですが、なかなか難しいですよね…そこで!
普段の生活の中で、ちょいリハをしましょう!


● 台所でかかとあげ
背筋を伸ばす!















● テーブル拭きでバランス

支える肘は曲げない!















● トイレで立ち座り 
膝を足先より前に出さない!
















頑張りすぎず自分のペースで続けることが大切です! 
自分で運動を組み合わせるのが難しいという方は、診療所の医師、又は作業療法士石川にご相談ください。





2019年7月21日日曜日

少々お待ちください(待ち時間について)〜診療所かわら版2019年7月号より〜


受診いただいた皆様を長時間お待たせしてしまうことが多く、 大変心苦しく思っております。当診療所としましても工夫して おりますが、対応しきれない点はご理解ください。

Q. なぜ 待ち時間が長くなってしまうのか? 
① 様々な年齢の患者さんの、あらゆる健康問題を扱うため。
→ 他の病院では相談しにくいお悩みをお聞きしたり,予防活動を行ったり、時にはご家族についてや人生についてもご相談したりしています。また,ご高齢の患者さんは同時に複数の健康問題を抱えている方が多いです.そのような方を健康問題毎にバラバラに診察するのではなくお1人の人として統合的にケアすることが大事で時間がかかることもあります.

② 医学生や研修医等の教育も担っているため。
→ 更別村が安定的に医師を複数確保でき,地域の多様な医療ニーズにお応えできているのは「教育」を行っており,「更別で働きたい,学びたい」と思う若いDrが来てくれるからです.

③ 外来以外にも医師の仕事がたくさんあるため。  
→ 医師の仕事は通院される患者さんの診察だけではありませんので,全員で外来通院の患者さんの診察に当たることはできません.訪問診療の患者さん、入院患者さんの診察やご家族との面談もあります. 予防接種、各種検査や健診、会議や書類作成など…。 4名の医師全員が毎日フル稼働で様々な仕事をこなし,夜間や土日祝日も交代で診療に当たっていることをご理解下さい.

Q. 解決策 はあるのか? 
① 混雑する時間帯をお避けください!
→ 朝一番、午後一番、夕方最後は大変混雑します。

② 予約の時間枠をご利用ください!
→ 午前中、診察前に検査がなく、診察医を指定しない方にご利用いただけます。
 時間通り来られる方が対象です。詳しくは医師または看護師にお尋ねください。

③ 優先診察を実施しています。
→ 急なケガや発熱のほか重症の方、および未就学児をお連れの方は、優先して診察しております。順番が前後することもありますが、ご理解お願いいたします。

文責:田尻(サービス向上委員会)追記山田(HP担当)

2019年5月30日木曜日

NHK北海道クローズアップで更別村診療所が紹介されました.

2019年5月24日,NHKの「北海道クローズアップ」という番組で更別村診療所が紹介されました.
地域の医療を守る医師が確保できず苦しむ北海道内の自治体が増えている一方で,更別村は総合診療専門医複数名により安定した医療が提供されています.
その秘密を探り,今後の北海道のみならず日本全国の地域医療の課題の解決に一石を投じる内容となりました.
当院からは院長の山田,棟方,伊藤が登場しました.
過去形になってしまい本当に申し訳ありませんが,紹介致します.



2019年5月26日日曜日

マダニは無理矢理とらないで! 〜診療所かわら版5月号より〜

暖かくなり、農作業や家庭菜園、山菜採りなどで草むらに入ることが多くなる季節ですね。この時期は、草むらにひそむマダニに咬まれる方が多くいます。
マダニが媒介する病気(日本紅斑熱、ライム病、重症熱性血小板減少症候群など)にならないために、予防法と対処法をお伝えします。

<予防法> マダニの活動が盛んな春から秋は要注意!
森林や草むら、やぶなど、マダニが多く生息する場所に行く時は、肌の露出を少なくする服装にしましょう。
  1.  長袖(シャツの裾はズボンの中に入れる)
  2.  長ズボン(ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる)
  3.  足を完全におおう靴(サンダルは避ける)
  4.  帽子、手袋、首にタオルを巻く など
服は、明るい色のもの(マダニを見つけやすい)やナイロン製など化学繊維素材のもの(マダニがつきにくい)がおすすめです。

<対処法>  早期発見・早期受診!
マダニは、人や動物に取りつくと皮膚にしっかりと口器を突き刺し、
長時間(数日~10日間以上)吸血しますが、マダニに咬まれても痛みがなく、気がつかない場合が多いです。早期発見するために、屋外活動後は入浴し、マダニに咬まれていないか確認してください。特に、わきの下、足のつけ根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)などがポイントです。吸血中のマダニに気がついた場合、無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液が逆流したりする恐れがあるので、やめましょう。
○  マダニにかまれていることに気がついたら、日中に診療所を受診して下さい

マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱、食欲低下、嘔吐、下痢等の症状があった時には必ず診療所を受診してください.

医師  棟方 智子

2019年4月28日日曜日

医師の紹介のページを更新しました.

4月1日に安達記宏,ひろむ医師に代わり伊藤史織(いとうしおり)医師,田尻巧(たじり たく)医師が着任しましたので,医師紹介のページを更新しました.
ついでに所長の山田のコメントも新しくしましたのでよければご覧下さい!

医師紹介のページ

2019年3月29日金曜日

春の不調にご用心! 〜診療所かわら版3月号より〜

朝晩の冷え込みもやわらぎ暖かい日差しを感じる日が多くなってきました。苗の準備や農機具の整備など仕事も忙しくなってきたとお聞きすると春だな~と思います。
春は卒業・入学・進学などおめでたい出来事もあり新たな生活に期待が膨らむ一方、気候や生活環境など変化も多く不安や心配事などストレスを感じやすい時期でもあります。適度なストレスは人間的な成長を促すものですが、過剰なストレスはメンタルヘルスの不調や生活習慣病など身体疾患のきっかけになることもあります。
ストレス反応は、下記のように身体面・心理面・行動面に様々な反応が現れます。

  •  身体面
   疲労感 肩こり 腰痛 動悸 息切れ 血圧上昇 頭痛 睡眠障害 食欲不振 下痢 便秘 など
  •  心理面
   イライラ あせり 不安 落ち込み 集中力の低下 やる気が出ない マイナス思考 など
  •  行動面
   過食 過激な飲酒・喫煙 何かしていないと落ち着かない 買い物依存 など


自分や家族のストレス反応に気づいたら、生活リズムを整える栄養バランスの良い食事をとる、休養をとる、気分転換をするなど早めに対応することが重要です。
ストレス反応の程度が重かったり長期間続いたりする場合には、当院にご相談ください。診察の結果、当院で治療をする場合もありますが、専門医の診察が必要な疾患や状態であることがわかった場合には適切にご紹介いたします。

医師 棟方智子

医業も父親業も日々鍛錬。 第30回 「かぜと抗生物質の本当の話」 〜 どんぐり通信 2019年9月号より〜

  今回はいつかこの紙面でお伝えしなくてはならないと思いながらどうお伝えすべきか迷ってきた医学ネタを扱いますね。 …それは抗生物質(抗菌薬)のことです。 咳や鼻,発熱といった症状で受診したときに抗生物質が処方されたことのあるお子さんは...