2015年5月18日月曜日

農作業中のけがへの対応 〜診療所かわら版2015年5月号〜

皆様、こんにちは。診療所の川合です。
今回のテーマはズバリ、「農作業や野菜・花畑作業中のケガの対応」です。外来でいろんなお話を聞かせていただき、「ん?イモを作るのに種イモがいるのか?」「しかもそれを切らなきゃいけないのか?」など、皆様にとってはごくごく当たり前のことも、私にとっては新鮮な驚きの連続です。
ここで皆様にクイズです。「指を切った」あるいは、「転んでひざを擦りむいた、血も出ている」となった時、病院に来る前にやるべきこととして正しいのは、次の①~③のうちどれでしょうか?


① とにかくすぐに消毒する。 
② まずは傷を流水(水道水)で洗浄する
③ 傷がきれいに治るように祈る。

正解は、・・・②でした。傷の処置の仕方はここ10年ほどの間にガラリと変わってきました。昔は、傷ができたら消毒をしてガーゼを当てる。傷が乾いてかさぶたが出来たら良し、という風でしたが、今は少し違います。消毒は傷についたばい菌だけではなく、人間の皮膚の細胞なども一緒に殺してしまうので傷の治りが悪くなるといった考え方もあります。またガーゼで覆い乾燥させると痛みが強くなることが多いです。

 現在、一般的に勧められている方法は、
①傷ができたら、まずは流水(水道水)で洗浄。特に泥などはしっかりと落とす。
②出血時は、傷口をハンカチやタオルなどで圧迫して押さえる(ほとんどの場合、10分も押さえれば止血) 
の2点です。
止血後は、落ち着いて病院を受診してください。
特に傷の汚染がひどい時は、破傷風という体の神経が侵される病気を後から起こすことがあり、抗毒素の注射が必要になることもありますので、予防接種がなかった昭和43年以前にお生まれの方は一度病院を受診してください。もちろん傷を作らないことが一番大切ですので、皆様くれぐれも気を付けて作業をしてください。                    

医師  川合 晴朗  

0 件のコメント:

コメントを投稿

医業も父親業も日々鍛錬。 第39回 「両親へ」 〜 どんぐり通信 2024年3月号より〜

  久しぶりにどんぐり保育園のかわら版「どんぐり通信」への連載を紹介します。 3月号は毎回旅だつ子どもたちやその保護者の皆様に宛てて記事を書かせてもらっているのですが、反響が大きかったようですので、皆様にもお読み頂けると幸いです。  2023...